顎関節症(がくかんせつしょう)とは

顎関節症とは、

「あごが痛くて口が開きにくい」
「口を開閉するときに顎の関節から異音がする」
「顎や耳の周辺の痛みを伴っている」
「ものが噛みにくい」

など、口を開けたり閉じたりする顎の関節や顎を動かす筋肉(咀嚼筋)に異常が起こり、違和感や痛みの症状がでる病気のことです。

顎がカクカクする、などといった顎関節症のような症状が出ていても、顎関節症が軽度であれば生活に支障はありません。

しかしながら、顎は入り組んだ形をしており、筋肉と関節と神経が集中しているため、どこかに少しでも異常がでると顎が痛んだり動かしにくくなったりします。

原因は、歯の噛みあわせや歯ぎしり、食いしばりや、後述する歯と歯を無意識にかみ合わせるTCHという癖であることがほとんどです。

顎関節の位置と構造

「顎関節」は、両側の耳(耳珠)のすぐ前に位置しています。

顎関節は下顎を動かすための関節で、 頭の骨のくぼみ(側顕骨・下顎窩)と下顎の丸い突起(下顎骨・下顎頭)から構成されています。

耳の穴の前側から前方およそ13ミリメートルのところに関節の中心があり、この部分に指を当てて大きく口を開閉することで、動く感覚がわかります。

また、下顎頭と下顎窩の間には、関節円板というクッションがあり、動きをスムーズにすること、圧力を吸収する役割をしています。

顎関節は体の様々な関節の中でも精密な構造となっており、且つ動きの激しいデリケートな箇所と言えます。

顎関節症により現れる具体的な症状

以下の症状が現れた場合、顎関節症の疑いがあります。

・顎関節を動かすと「コキコキ・ジャリジャリ」などの異音が聞こえる
・口を大きく開くと痛い、もしくは大きい口が開けない
・口を開けた後に閉じれなくなる事がある
・顔面に痛みや違和感があったり、筋肉疲労がある
・口を左右にうまく動かせない事が多い
・顎が外れることが稀にある
・顎の動きがぎこちない、噛み合わせが不安定だと感じる

また、副症状として顎周辺のみならず、全身の部位に何かしらの症状が現れるのも顎関節症の特徴です。

顎関節症になる原因は「複数要因」

顎関節症の原因は、具体的に明らかにされていませんが、多くの因子が複雑に起因しており「複数の要因が組み合わさって発症する」というのが近年の一般的な考え方です。

さらに個人差があるため発症にはバラつきがあり症状が複雑ですが、主に以下の要因が顎関節症を発症する原因と言われています。

①不正咬合(良くない歯並び・かみ合わせ)

開咬や過蓋咬合など、かみ合わせや歯並びにより、あごの関節(顎関節)に負荷が生じている場合があります。かみ合わせが悪いことで、食いしばり・歯ぎしり・偏咀嚼(片側だけで噛む)などを引き起こし、顎関節に負担がかかっている場合があります。

②食いしばり・歯ぎしり

食いしばり・歯ぎしりがあるとあご周囲の筋肉が慢性的に緊張状態となり、肩こりと同じように凝って疲労してしまいます。肩こりがひどくなると辛いように、あごの周囲の筋肉も同じです。この緊張状態が続いてしまうと、あごの周囲の筋肉だけではなくて、肩や首などの筋肉へも負担となり顎関節症を引き起こすケースがあります。

③日常の行動週間

顎関節やお口周囲の筋肉に負担がかかる日常的な癖や習慣のことを悪習癖と呼びます。顎関節症を引き起こす習慣の代表的なものとして、頬杖・無理なあごの開閉・偏咀嚼(片側だけで噛む)・うつぶせ寝・猫背などの悪い姿勢などが挙げられます。

④ストレス

ストレスが過度にかかると、精神的に緊張状態となることで食いしばりなどが起こり、顎関節周囲の筋肉の過緊張が起こります。結果として顎関節症を誘発しやすくなります。なかなかストレスをかけないように暮らすことも難しいですが、規則正しい生活、適度な運動、適度なリフレッシュを図ることで、うまく仕事や家庭、人間関係などのストレスを軽減することが求められます。

⑤外傷

転倒や交通事故などの外傷で、顎関節のじん帯や筋肉、関節自体が損傷した場合や、歯科治療などで長時間に無理に大きく口を開けていた場合、無理なあごの開閉運動によって負担となる事て顎関節症を発症するケースもあります。

顎関節症を発症する最も多い原因が「行動習慣」

顎関節症の患者さんや顎関節症の疑いがある方には、やってはいけない習慣があります。なぜなら、気付かないうちに習慣になっている行為が顎関節症の原因になっていたり、顎関節症を悪化させてしまう恐れがあるからです。

さらに、ほとんどの顎関節症は口の周りの習慣によって発生している、とも言われています。

顎関節症の主な行動要因としては「片がみ癖」「寝るときの姿勢」「無意識の食いしばり」「頬杖」「日常生活で負担のかかる姿勢や動作」「ストレス(精神的や肉体的)」など様々な原因があります。

①片側で噛む癖

片側で噛む癖は、顎関節症をもたらす大きな原因のため、特に注意が必要です。長期的に片側で噛む癖がある事で、顎関節の動きに左右差が発生し、よく使われる方の顎関節は疲弊してしまうのです。顎関節症にはさまざまな原因がありますが、片がみ癖はその中で最も影響が大きいと言っても過言ではありません。実際に、当院に来院される患者さんの殆どが、片がみ癖による顎関節症です。

②顎に負担のかかる姿勢

顎関節症の方や顎関節症の疑いがある方は、顎に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。その理由は、顎に負担がかかり続けると顎関節に圧力がかかり、痛みを感じるようになってしまうからです。顎関節症の症状やその疑いが見られるときは、負荷の大きい運動による顎への影響に注意しましょう。

③TCH(歯列接触癖)

TCHは「無意識的に、持続して上下の歯を接触させる癖」のことで、顎関節に過度な緊張状態と負担をもたらすからです。TCHのg単位の圧力がかかる状態は「持続ができてしまう」ため、顎関節の過緊張状態が長時間続くことを意味します。TCHによって顎関節の緊張が続くと、顎関節は疲労し、痛みを感じやすくなる可能性が高いと言えます。

④歯ぎしり

歯ぎしりは、上下の歯をこすり合わせるため、歯表面のエナメル質が削れるだけでなく、歯に大きな圧力がかかり続けます。歯ぎしりによって歯に圧力がかかり続ける状態では、TCHと同様に、筋肉や顎関節への負担が増加します。負担が増加すると顎関節が疲労し、痛みを感じるようになるのです。

当院の顎関節症治療方針

当院の顎関節症治療は、その場しのぎの対症療法ではなく、痛みの根本原因から見つめ直す「原因療法」を推奨しております。

ガムを噛んだり、マウスピースを装着したり、
ストレッチをするなど…。

たしかに上記の手法は治療の過程に含まれることがあります。しかし、歯科医の指示によらずに、患者さん自身の判断でおこなうと、痛みや違和感の増大といった逆効果をもたらす可能性があるため、やってはいけない治療です。

また、最新の知見では顎関節症の治療目的にマウスピースをはめて様子を見ることは無意味・もしくは悪化の可能性があるためしてはいけないとなっていますが、この事実を把握せずに治療を進める歯科医が多いと言っても過言ではありません。

当院では、食べ物の噛み方に由来した顎関節の位置のずれを矯正するための原因療法として、顎関節症になってしまった要因となる噛み方の癖や、TCH(歯列接触癖)などの癖を患者様に知って自覚していただく事から治療をスタート。

そして、顎への悪影響を具体的に認識いただき、痛みが再発しないような下顎の正しい使い方をレクチャー・トレーニングを患者様と共に行い、下顎の運動障害を改善していく機能的運動療法(ストレッチ療法)を実施しています。

余談ですが、某学会や大学病院ではクリック音(コキコキ・ジャリジャリ)は治せないとされていますが、当院の治療法ではクリック音がならない状態まで改善した例が多くあります。

顎関節症の治療の流れ(顎関節診断検査)

当院では初診時に必ず顎関節の変形や腫瘍の有無を確認するためのCT検査、およびオリジナルマウスピースの型どり等も行っております。
また、問診にて顎関節に影響を与える生活習慣に関して詳しくヒアリングさせて頂きます。

【検査】

・口腔内模型・噛み合わせ検査
 歯の状態とかみ合わせの状態を調べます

・パノラマレントゲン検査
 顎関節部分の骨の状態を調べます

・CT検査
 顎関節部分の骨や筋肉などをCTで撮影し、頭と下顎の関係や筋肉の肥大などを調べます

【治療開始】

開口訓練など、痛み症状に合わせて治療のカリキュラムを組み合わせて治療を進めていきます。

・開口訓練
・脱感作療法
・認知行動療法
・マウスピース治療
・ボトックス治療
・矯正治療
・歯の噛み合わせ治療
 (咬合再構成)

以上を痛みや症状に合わせて、治療のカリキュラムを組み合わせていきます。

顎関節症治療のよくある質問

痛みはどのくらいの期間で軽減される事が多いですか?

痛みの改善には2週間〜1か月、関節雑音の改善には1か月〜3カ月かかることが多いです。

費用はいくらですか?

基本的に保険適用です。
初診の場合、検査費用が6~7,000円、マウスピース治療が約3,000円です。

ボトックス治療が必要な場合は保険適用外で40,000円(税別)です。また、歯の治療が必要な場合は別途費用です。